
本田直之さんの著書はすべて読んでいる。
彼は経営者だが、特に成功談を語ることも苦労話を披露することもない。
自己啓発的な心に突き刺さるフレーズがあるわけでもない。
ただ淡々と、ご自身が習慣にしておられる勉強方法を解説する
「レバレッジシリーズ」が私は大好きなのだが、
とにかく彼の著書には、違和感を感じるところが一切ない。
大変おこがましいのだが、
頭の構造的には私とすごく近い作りになってるんじゃないかと思ってしまうほど
するすると入ってくる、私にとっては「水」のような本である。
最初に彼を著名にしたのは多分、「レバレッジ・リーディング」だ。
「レバレッジ」はテコの原理の意味で、その名の通り
1:1の費用対効果ではなく、加速度的に効果を上げる多読のススメ。
初めて読んだときは本好きとして、大いに共感した。
今でこそ「多読」を推奨する本は多いが、
それまでは「速読」を扱ったもののほうが一般的だったように思う。
「多読」は技術的に本を速く読むことじゃなくて、
とにかく大量の情報の中から自分に本当に必要なものを嗅ぎ分ける
臭覚を養うような読書スタイルだと思う。
最初から最後まで一言一句読む必要などなく、
役に立たないと思えば途中でやめてしまえばいい。
本は折る、書き込む、線を引くなどどんどん汚して、
自分に必要な箇所を効率よく抽出していく。
そして、パソコンに入力する、書き写すなどのアウトプットには充分時間をかける。
彼は徹底的な効率主義者で、
彼が大量の情報を摂取するのは、
「それを知らないために面倒なことをするのが嫌だから」。
インターネットでももちろん情報収集はするが、
本は、ある程度セグメントされた内容を、
プロの編集者が時間とお金をかけて体系化している訳で、
そんな手間とコストのかかった情報ツールを活用しない手はない。
また、本は、多くの経営者や成功者が何年もかけて集めたノウハウを
一冊に集約しているのだから、
その内容を知らずに自分で同じ失敗を繰り返すのは愚の骨頂。
そんな合理主義が最初から最後まで貫かれている。
で、彼の日常から仕事上までの効率的な時間の使い方を
指南した著書が本書である。
非常に体系的且つ平易に書かれており、全体的に読みやすいのだが、
私が最も共感したのは以下の箇所。
●わたしは現在、1年の半分をハワイで過ごしながら4つの会社を
経営しています。(中略)
今後、日本でも複数の仕事を持つことが当たり前の時代がやってきます。
米国社会はすでにそうなっていますが、会社に席を置きながら副業をやったり、
フリーランスの立場でいくつもの仕事をこなすことが当然の時代になるはずです。
●これは断言してもかまいませんが、英語の時代がやってきます。(中略)
あと7~8年もすれば確実に、「英語ができないと仕事にならない」
「英語ができないと損をする」という時代がやってきます。
日本人が、日本人を相手に、日本語でビジネスをしていれば回っていく。
そんな時代はもう終わります。
外国資本はどんどん入ってくるし、
国内だけでビジネスできなくなった日本企業は海外に進出する。
そして少子高齢化によって労働力が不足して、外国人労働者の
受け入れも本格化していくる。IT社会への変化と同じくそれはあっという間のことでしょう。
究極の効率主義者である彼は、
自分の日常の行動を完璧にフロー化してしまうことで、
時間の制約からも、仕事からも、会社からも、住む場所からも、
そして言語からさえ縛られず、
自由に生きる人生を手にしている。
一見、規則正しい彼の生活スタイルを窮屈に感じる人もいるかもしれないが、
実は逆で、
私もそうだが、日々の些細な努力を習慣化することができず、
その面倒くささから逃げるあまりに、
人生そのものを面倒くさいものにしている人間がなんと多いか。
あとでやろう、がたまりにたまって、
結局多大な時間を費やすことになってしまった経験は誰しもあるだろう。
そして、日々の小さな「面倒」を放棄した結果、
その会社でしか生きられない、
何かに属さなければ居場所がない、
どこの国かに限定しなければ生活できない、
そういう大きな不自由を生んでいることに、多分多くの人は気付くこともない。
そうだ、私も目の前の自由を求めて、本当の自由を見失ってはいないだろうか。
彼の著書が私の頭の中にするすると入ってくるのは、
その軽快な語り口や多読のノウハウだけが理由ではなくて、
きっと根底の人生哲学に共感していたからだ。
人生の意味をどこに置くかは人それぞれだけど、
私にとっての「日々の自由」と「本当に手に入れたい人生の自由」の比重を
もう一度見つめなおしてみようと思う。
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